來源:mjfcmoonwalk.com
会場の福岡ドーム ここは、マイケルのコンサートとしては初めての福岡ドームの中。 初めて観る人・他県から来ている人・海外から来ている人、それぞれが思い思いの気持ちを持って集まっている。 だけど大方の人が思っていること たった2日間の公演のわりに これほど気を揉んだことがあったかしら。 福岡という慣れない所でのチケット並びや、慣れない販売方式、ツアーの再開に合わせたかのような疑惑事件の勃発、相次ぐキャンセル、そして何よりもこたえたマイケルの身体の不調を伝えるニュース。 とうとう来日を危ぶむ声さえ囁かれたりして; でもとにかく今、指定席までは辿り着いたってわけ。 直前のキャンセルのアナウンスがありませんように・コンサートの始まる合図でもある "灯り" が早く消えますように、と祈るような気持ちで。 福岡公演チケット | ||
場内の灯りのフッと消える時というのは、何とも言えぬ瞬間だ。 さぁ!始まるぞ!! という意気込みと、大きな真っ暗闇の中の不安と、いよいよ本物のマイケルが出てくるんだという嬉しさと、瞬時にして 「Are You Nuts?!」 までボルテージの跳ね上がる 訳のわからんコーフン、それらが一瞬にして身体の中を占領する。 特に今回は、「マイケルの体調やいかに」 という心配も加わって。 そしてその瞬間は、いつも不意にやってくる。 「フッ」 という音が聴こえたかのように灯りが一斉に消えた。 オープニングのビデオが映し出され、これから始まる別世界への夢先案内をしてくれる。 強烈な音響を全身で受け止め、両手は胸を押さえていないと心臓が飛び出しそう。 4つの鐘の音を合図に、マイケルが飛び出してくるトースタージャ――ンプ! そばの中学生の男の子2人が 「わぁ~~本物だぁ!本物だぁ!!」 と叫んでいる。 目の前に仁王立ちしているのは、確かに本物のマイケルなのだ。 ひとたび始まれば、終わりに向かってどんどん時が流れ始めるつらさ。 それでも容赦なく JAM は、マイケルの合図で始まる。 ああマイケルがあんなに元気そうにしている! 時たまタコ踊りやお化粧パタパタママを入れながら、マイケルのダンスは so sexy。 力強い動き・しっかりとした足取り・圧巻のダンスシーン・ピタッとキマるポーズ! そんな元気なマイケルとの再会にしてくれた神様、ありがとう。 嬉しさと安心で、やっとコンサートに身が入り始めた。 大爆音とともに "JAM" が終わると、マイケルは暗闇の中で汗を拭いたりミネラルウォーターを飲んだりしながらウロウロ歩き回っている。 「How are you doin'?!」 と2回、 「Hee-Hee」 「Hoo」 とご挨拶をファンと交わしたあと、 Wanna Be Startin' Somethin' の始まり。 マスコミに撮影を許可しているのはこの曲まで。 曲が終わるとすごすごと引き揚げていく皆さんこそ何かを始めるべきでは? 「I love you ! アイシテマス!!」 の元気印の声が響きわたり、Human Nature が始まる。 '87年来日の時、日本が大好きだと言ったマイケル。 彼は今でも少しも変わっていない。 「Everybody sing !」 の掛け声に、 「Why Why~」 と皆が歌い始める。 マイケルが大好きな日本人でいたいと思いながら。 マイケルと同じように、ファンだって I love youが言いたくて必死なんだ。 ピンスポットを全身に受けて、夢とも現実ともつかぬ美しい光に溶け込んだマイケルが身体をくねらせている。 Smooth Criminal の始まりは、"Heartbreak Hotel" のイントロで始まる。 どデカいシャドウカーテンに映し出されるマイケルの姿が瞼に浮かび、期待で胸が膨らむ。 そしてどーしようもない位カッコいいマイケルのビッグシャドウが目の前に襲いかかる。 カーテンが上がりダンスシーンが始まると、会場のコーフンも最高潮。 映画と同じシーンが目の前で次々に繰り広げられていく感動。 深くかぶった帽子の下の表情は、荒々しく男っぽい。 そして1曲ごとにマイケルのその表情は変わるのだ。 銃声とともに曲が終わると心地よい間奏が流れ、場内の想いを込めた数々のプラカードやバナーがひとつひとつスクリーンに映し出されていく。 この長い間奏の間に、今回の曲目について思い出してみましょうね。 『DANGEROUS World Tour』 の中で比べてみると、今回姿を消したのが "Workin' Day And Night", "Beat It", "BAD", それに一応 "The Way You Make Me Feel", "Man In The Mirror" で、新たに加わったのが "Dangerous" でしたよね。 またステージそのものもかなり様子が変化してきていて、ツアー初期にはまずロケットが登場しなくなり、次に天使が降りて来なくなっちゃった。 続いて上下に動くステージが無くなり、おのずとポールを伝ってスルスルと2階から下りてくるマイケルも見られなくなってしまった。 そして今回は、クレーンはあったけど使われなかった。 長いツアーの間には、きっと色々あるんでしょうねー。
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- Thriller
- Billie Jean
- Will You Be There
- Dangerous
- Black Or White
- Heal The World
マイケルが
「I just can't stop」
と歌うと、オーディエンスは待ってましたとばかりに
「loving you~♪」
と、かなぐり声で歌う。
マイケルの精いっぱいの絡みのシーンも、サイーダの逞しさのお陰でジェラシーは感じられない。
サッとサイーダが引っ込み、ひとりステージに取り残されたマイケルの後で、ファンにとっては試練の(?!)曲 She's Out Of My Life が流れ始める。
例のごとく女の子を抱き締めながら 「I love you」 と言ったあと絶句し、ホントに泣いていたマイケルが切なかった。
ステージは一転して明るい Motownメドレー へ。
場内が昼間のように明るくなる I'll Be There、ちょっと後を振り向くと会場全体が大きく左右に揺れ、なんてキレイなんだろう。
マイケルはいつも
「You are beautiful !」
と称賛してくれるけど
前回は、ステージが一段下がってマイケルをとても近くに感じられたけれど、今回はそれが無い。
そして、棺桶に入って消えるマジックの後 いきなり見上げるような高さの2階ステージにスタンバイしたマイケルから始まるというスタイルの "Billie Jean" でもなかった。 棺桶が登場しなかったのだ。
今回はどんな風に消えたのかというと、マイケルに黒い布がスッポリ被され、そのままステージ脇まで走り込むって感じ。 ところが “頭かくして尻かくさずの図”状態で、隠れたつもりのマイケルはチョコチョコと小走り。 それがとってもかわいい。
今回もっとも大きな違いは、圧巻のクレーンに乗っての雄叫びが無いこと。
そう、"Beat It" が無かったのだァ!
'87,'88,'92とも "Workin' Day And Night"で銀の筒に入って消え、とんでもない所からクレーンに乗って現われて私たちの頭上で旋回したんだけれど、ちょっぴり残念!
Billie Jean は、ステージが上下しない為、ステージ脇からスタスタ歩いてきてスタンバイ、そしていきなりのドラムソロで始まった。
それまで楽しいバンドメンバーや色とりどりのバリライト,赤や金のコスチュームで華麗だったステージは、モノクロ一色の世界へと一変してしまう。 白と黒とマイケルの身体ひとつ。 これが、より以上に華麗なのだ。
身体の各部のバランスがこれほど美しい人って、他に見たことが無い。 痩せた肩から背中の曲線をキラキラ光るスパンコールが浮かび上がらせ、頼もしさと力強さを感じさせる。 長い腕と手はシャープに空を切り、繊細な指が差す先にはまるで何かが見えるよう。 ほんの少し見える痩せこけた胸は色気さえ漂う。
筆舌ものの美しさに人は息をこらし、神秘的な動きに人は身動きもせず、目だけがマイケルを追っている。 真剣とウツロとが交錯するまなざしで。
やがて、叫び声と思い切り伸ばした腕が林立する客席の中へ、帽子がスーッと吸い込まれていく。
獲得作戦が長かったせいか、暗いステージの上からその様子を見ていたマイケルは、ステージ真ん中・客席ギリギリ前まで出てきて、とうとう座り込んで成り行きを見守っていた。 そのあまりにも親しげなリラックスした普通人っぽい仕草の可愛さに、思わず私たちはうろたえてしまった。
このフィルムは発表直後に一部がカットされてしまったので、この会場に来て初めてノーカット版を観る人も多いという貴重もの。
【※編集注 - ウィンドウに文字入りの2ndバージョンを使用 】
引き継いで流れてきた美しいイントロは、Will You Be There。
真っ白いシャツが軽やかに舞う。 この曲のマイケルの表情は、ひたすら美しい。
今、ラストに語るマイケルの言葉は、何回も聴いてきた中でも特にダイレクトに伝わってくる。 今こそ、このメッセージが全世界へ伝わりますようにと願い、胸が痛み、私の瞳の中でマイケルが揺れていた。
ファンとマイケルのそんな気持ちが一体となった時、あの優しい声で
「アイシテマス!」。
11日にはそれを連発してくれた。
007のイントロで始まったのは、 な、な、ぬゎんと、日本初公開 Dangerous !!
AMAでのパフォーマンスが今から観られるの?!
"Dangerous"を目の前で?!
会場では、あちこちで抱き合い、飛び上がり、狂気乱舞。 "Smooth Criminal"が初めて取り入れられた時もそうだった。 "Another Part Of Me"の時もそうだった。 初めて観る時とはこんな風にぶっちぎれるものなんだァー。
10日はVネックTシャツの上に背広を着ていたけど、11日にはしっかり白いYシャツと黒のネクタイをしてくれちゃって!
この服は、背広の袖口に始めからYシャツの袖口の部分だけを縫い付けてある。 だから10日は、Tシャツなのに袖口だけはYシャツという変てこりんなマイコーだった。
2日間とも私たちは金魚のような口パクパクで酸欠状態、そのくせ感激しすぎてあまり記憶にないという情けなさ。
曲の合い間に、マイケルは3~4回タオルを投げてくれた。
それはぐっしょり濡れていたけれど、汗というよりミネラルウォーターをぶっかけてあるような感じだった。
奪い合いの末 ビリビリに破けてしまったタオルもあり、仲良く半分ずつに切り分けられたタオルもあったが、前方の席だから受けられるサービスである。
でもスタンドの最後列のファンにまで、マイケルのエモーションを伝えることが出来たら素晴らしいと思うし、彼はきっと出来る人だと思う。
やがて "カルキン&パパ"ビデオが流れ、それが終わると同時に元気よくマイケルがステージ脇から飛び出してくる。 Black Or White だ。
この曲で少し残念だったのは、ギターのジェニファーが今回は居なかったこと。 マイケルとジェニファーの掛け合いの図がしっかり瞼に馴染んでいる者にとっては淋しい。
ドラムも、BADツアーからずっとやってきてリッキーではなかったし、キーボード&バンドマスターでもあり "We Are The World"でも一緒に仕事をしたグレッグまでもが欠けていた。
これらメンバーの入れ替わりは、ツーカーで息が合うという点ではマイケルにとってはとてもやりにくかった部分もあるのかもしれないと思う。
マスコミが、マイケルが歌詞を忘れてしまったとか音を外したとか言って騒いでいたけれど、こういった点もよーっく知った上で書いてほしいものだ。
いよいよラストナンバー、Heal The World の始まりである。
"We Are The World"のインストゥルメンタルとともにビデオが流れ始める。 世界中の子供たちとマイケルの懐かしい笑顔。
何の振り付けもなく気負いのない振りで自由に歌うマイケルが、眩暈がしそうな位にかっこいい。 どんな事があったって、マイケルはその姿勢を崩すことなく、一貫して自分の・そして全世界の子供たちの為に、そしてそして心を閉ざしている大人たちへ呼びかけているテーマ。 それが "Heal The World"。
子供たちの手を取り ゆっくりと地球儀をひと回りするマイケルは、何度見てもその笑顔に真の願いを込めている。
場内は隅々まで明るく照らし出されて、みんな大きく左右に揺れている。
すっかり各国でも、また各ホテルの窓の下でも、英語圏ではない日本人の間でも口ずさまれるようになったこの歌詞。 ふと私は歌うのをやめて周囲を見渡してみて感動した。 今までの日本公演でも、"BAD"など一緒に歌う人はいたけれど、果たしてマイケルの耳に届いているのだろうかという感じであった。 しかし今、照れ屋で英語の苦手な日本のファンが、なんとドーム全体が唸るかのような大合唱をしているのだ。 "Human Nature"でも同じ現象が起こっていた。 今回は特に、嬉しいことにステージ近くのエリアにファンではない関係者・招待客・物見遊山客がほとんど居なかったお陰で、熱気が縦横無尽にストレートに伝染したのかもしれない。
マイケルはこの光景をどんな風に感じてくれただろう。
"Man In The Mirror"を期待したファンも多かったかもしれないが、どの曲が欠けても残念なだけで、マイケルが再び日本のステージに立ってくれただけで 「ありがとうマイケル」 と言いたい。
アンコールを求める手拍子の中、全てのショウが終わったことがアナウンスされた。
そしてマイケルからのコメントも伝えられたのだ。
「ただいまマイケル本人より、最後に 『本日の公演は会場の雰囲気も最高でとても良かった』 とコメントが入ってきております」。
マイケルの去った後の会場いっぱいに拍手と大歓声が沸き起こった。 こちらこそありがとう!
"終わった"と健気に自覚しようとしていたファンへの、マイケルの温かな 「伝言」 の置き土産だった。
その夜マイケルは、ホテルの窓に姿を見せ手を振った。
カメラのフラッシュで浮かび上がるマイケルの顔は穏やかで、「ありがとう」 と言っているように見える。
マイケルが 「じゃあもう遅いから今夜はこれでおしまい」 とステージの幕を下ろすように窓を閉めると、窓の下では誰からともなく窓に向かって拍手が起こり、口々にもう一度 「マイケルありがとう」 と呟き、ハラハラドキドキで迎えたコンサートも喜びと感動と感謝に終わったのでした。
・・・ END ・・
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